猫のように自由〜Libero come gatto

イタリア各地で暮らす自由猫「ガット・リベロ」を追いかけて、写真と文で綴ったビジュアル・ノンフィクション。全て文庫用に撮り下し書き下ろし。

イタリアでは「野良猫」という言葉は存在せず、街にくらす猫は「自由猫=ガット・リベロ」または「町の猫=ガット・デル・パエーゼ」「広場の猫=ガット・デッラ・ピアッツァ」という言葉で呼ばれています。

どの町もそれなりに問題は抱えているものの、猫はいたいからそこにいるのだ、という自由意志を尊重しています。それはある種成熟した社会の形。イタリアという国はそれぞれ独立した都市国家が近代になってイタリアという国家を形成しただけに地方分権が当たり前。それだけに行政の猫との接し方も違います。

きちんと市が猫サンクチュアリを条例で指定しているフィレンツェ、ボランティア活動がさかんなローマ、猫が自由に暮らす車の無い社会ヴェネツィアなどところ変われば猫への接し方も変わります。本書は猫というフィルターを通して見たイタリア人の都市論、ひいては環境への考え方を猫たちとともに考えたレポートです。